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米国でもランナーのマスク着用の必要性を巡り論争

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こんにちは、ダメっ子のぴぴおです。

昨今は新型コロナの感染を防ぐため、ランナーはマスクをして走るべきだ、という意見が広く聞かれる。ランナーでもある京大の山中教授がランニング中はマスクなどで口と鼻を覆うべきと発信したことなどがきっかけで、マスクをして走るランナーが増えた。

しかしマスクをして走るのは辛いし、これから暑くなるので熱中症のリスクも大きくなる。また、集団で走る場合を除けば、屋外のランニングはいわゆる「三密」とは対極に当たるので、マスク着用の必要はないのではないか、という意見もある。現にスポーツ庁は、小学校の体育の授業ではマスク着用を義務づけない方針を示している。

ランナーはマスクをするべきなのか、その必要はないのか。簡単には結論が出る問題ではないようだ。

ちなみに外国ではどんな状況なのだろうと思って、アメリカの新聞記事を少し検索してみた。

Wall Street Journalには、”Nothing Irritates a Masked Walker Like an Unmasked Runner”という5月12日付の記事があった。タイトルは「マスクをしていないランナーほど歩行者をいら立たせるものはない」という意味だ。ランナーにとって辛辣な内容が予想される・・・

冒頭にはフロリダ州に住む62歳の女性の話が紹介されている。日課の犬の散歩をしていると、後ろからマスクをせずに息を切らしながら自分のすぐそばを通り抜けていくランナーが何人もいる。それに辟易して、ついには通り過ぎるランナーに「距離を取れ!」と怒鳴るようになったという。

やはり、アメリカでもマスクをしないランナーは叩かれているようだ。

ロサンゼルス郡では、ランナーは他人に近づくときはマスクをすべきとの指針を出しているという。またマサチューセッツ州はソーシャルディスタンスを保てないときに顔を覆うものを着用していない人に最大300ドルの罰金を科すことにしたそうだ。同州ボストン市の市長は、マスクをせずに息を切らしながら走り抜けて他人の迷惑になっている人が多いとして、特にランナーとサイクリストに警告している。

読者から寄せられた意見も「ランナーはマスクをすべき」というものが多いようだ。あるニューヨークのランナーは、マスクをしていないランナーが大勢いることを憂えて、「ランナーとサイクリストへ:あなたのマスクはどこ???あなたたちもマスクを付ける必要があります」という看板を自作して公園で掲げたら、ランナーからも歩行者からも称賛されたとか。

別の記事も見てみよう。ニューヨークタイムズには”Do Runners Need to Wear Masks?”という記事が5月30日付で掲載されていた。まさにどんぴしゃりのタイトル。

この記事にも冒頭に、自分のそばをマスクをせずに走り抜けていくランナーやサイクリストに「マスクしろ!」と怒鳴っているおばあちゃんの話が出ている。WSJと同じ人の話かと思うくらい似たエピソードだが、別人。つまり、今のアメリカには同じような人がたくさんいるのだろう。マスクを付けずに自転車に乗っていたら怒鳴られてビックリしたという女子高生の話も載っていた。

前述のWSJの記事は「ランナーは迷惑」と感じている読者から共感を集めようとしているような論調だったが、こちらはもっとニュートラルに論点を整理している。

まず、ランナーのマスク着用は義務なのかという点から説明している。

WSJの記事にもあったように、ボストン市はそれを義務づけているが、ニューヨーク市、ロサンゼルス、サンフランシスコでは、他人との距離を保てれば着用しなくてもよいとされているそうだ。サンフランシスコでは、走っているときに常に着用しなくても良いが、他人に30フィート(10mくらい)近づいたら着用できるようにマスクを持って走ることが奨励されている。

国の保健機関であるCDC(米疾病対策センター)は、人との距離を保てないときのマスク着用を奨励しているが、運動時のマスク着用については特に指針を示していないという。

また記事は、ランナーがマスクをすべきであることを示す科学的エビデンスがあるのか、という観点からも論じている。

これについては、まだ共通の見解がないそうだ。

研究者の間で意見が一致しているのは、①マスクはウイルスの感染を遅らせる、②他人と6フィート(約2m)以内の距離で運動をするのは避けた方がよい、③屋内より屋外の運動の方がリスクが小さい、ということくらいらしい。

イギリスのレスター大学の教授によると、ランナーが他人にコロナを感染させる可能性が高い状況は、立ち止まって誰かと話しているときだという。走っているときは、呼気にウイルスが含まれていても大量の空気で希薄化し、風で飛んでいってしまうので、感染のリスクは低いと考えられるそうだ。現に、中国で7300件の感染例を対象とした調査では、屋外での感染例は1つしかなかったらしい。

記事では、ランナーの出した飛沫が10m後ろまで飛んでいくことを示した調査レポートについても触れていた。日本でも話題になったアレだ。ただし、この実験は屋内の無風状態で行われたので、大気が動く屋外では条件が異なるため、ランナーとは10m以上の距離を取るべきとの結論を出すべきではないと、レポートの執筆者も指摘していると書かれている。

とはいえ、ランナーの真後ろを長い時間走らない方が良いというのは共通の見解のようだ。

記事全体のトーンとしては、マスクを着用しないランナーに厳しい目が向けられ、日本同様、いわゆる自粛警察の活動も目立つが、ランナーのマスク着用は多くの地域では条例等で義務づけられたことではないし、科学的にもその必要性を裏付ける理由は十分に示されていない、と現時点で判明していることを中立的に説明している。

あ、それから、マスク着用のランニングは高地トレーニングの代用にはならないということも一言述べられていた。うーん、せめてマスク着用にこれくらいのプラス要因があればと思ったが、残念。

最後に、ランナーに怒鳴っているという冒頭の女性について記事はもう一度触れ、アリゾナ大学の教授の見解を紹介している。人は全然知らない人から怒鳴られるよりも、家族や友人から諭される方がアドバイスを受け入れやすい、とやんわりと自粛警察を非難しているようだった。記事には、怒鳴ったら、それこそ飛沫を飛ばすことになるかも、というややランナー寄りの記述もあった。ランニングに関するいろんな記事を定期的に掲載しているニューヨークタイムズなので、WSJよりはランナーに寄り添っている感じはする。

まあ、これらの記事から、アメリカでもランナーのマスク着用問題が結構クローズアップされているのが分かった。

日本では緊急事態宣言は解除されたが、依然としてマスクをしないランナーに対する目は厳しい。マスクをしなくても大手を振って走れるようになるのは、いつになるのだろうか。本格的に暑くなる前に事態が改善して欲しいものだ。

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