アメリカで最も有名なランニング雑誌、Runner’s WorldがMy Run Planというスマホ用のアプリを開発したというので、少し試してみた。

ランニング関係のアプリは色々あるが、大抵はGPSでランニングの記録を取って、それをSNSと連携させるといった類のものである。
このMy Run Planはちょっと違って、練習メニューの作成が主たる機能となっている。
自分の都合や好みに合わせて、何曜日にロング走を入れて、何曜日にスピード練習を入れるといった条件を設定したり、目標レースや目標タイムを登録すると、自動的に練習メニューを作成してくれる。
そしてGarminをはじめとするGPSウォッチなどでランニングの記録を取ると、このアプリがそのデータを取り込んで、練習メニューと照らし合わせてくれる。
ここまでは、ASICSのMy ASICSなどとあまり変わらない。
My Run Planがすごいのはこの先。
日々の練習やレースで良いパフォーマンスが出て、体力レベルが上がったと判定されると、自動的に練習メニューが修正されるのだ。逆に体力が下がったり、計画した練習ができなかったりした場合も、やはりメニューが修正される。

つまり、理論上、常に自分の体力に応じた練習メニューが提示されるので、効率よく走力を向上させることができるというわけだ。ダメっ子が試したときも、ポイント練習やレースで好記録が出ると、フィットネスレベルが上がったという通知が来て、練習メニューが修正されていた。
ちなみに、アプリは無料だが、練習メニューは有料。料金は1ヵ月9.99ドル、6ヵ月49.99ドル、12ヵ月64.99ドル。2週間は無料で試すことができる。
本気で自己ベストを更新したいと考えているランナーにとっては、払ってもよいと思える価格かも知れない。
しかしダメっ子は、有料プランの契約はしないことにした。こうした「体力に応じたメニューの調整」というのは非常に大事だが難しいので、それをアプリが管理してくれるというのはありがたいのだが、結局のところ、強いランナーになるためには、この調整を自分の感覚で行えるようになる必要があると思うのだ。
アメリカで人気のランニング指導書に「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」というのがある。この本がすごいのは、あらゆるレベルのランナーが使えるように、自己ベストから体力レベルを測定し、その体力レベルに応じて練習強度を細かく設定できるようになっているところだ。つまり、この本の長所は、各人の体力に応じたメニューが作れるという点でMy Run Planと重なる。しかし、その日の体調で体力レベルは日々、微妙に変わっているので、提示されたメニューがその日の自分に適している保証はない。
つまり、My Run Planやダニエルズのランニング・フォーミュラが提示するメニューは参考にはなるが、やはり最も頼りになるのは自分の感覚である。そして、その感覚は日々の練習を通じて意識的に研ぎ澄ます必要があるとダメっ子は思う。だからMy Run Planの契約はしない。
ちなみに、そういう感覚を大事にするという面も含めて参考になる指導書は「リディアードのランニング・バイブル」や「eA式マラソン新常識トレーニング」だと思う。
どんなメニューでも、鵜呑みにするとうまくいかない、というのは過去何年かの失敗で身に染みて分かっているダメっ子なのであった。