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映画「マネー・ショート」を見始める:そのタイトルは何よ?

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英語の勉強のため、amazonビデオで映画「マネー・ショート」を購入して見始めた。

この映画、リーマン危機を扱ったマイケル・ルイス作のノンフィクション、”The Big Short”が原作。原作は邦訳も出ている(「世紀の空売り」東江一紀 訳)。

で、初っぱなから気になるのが、この映画の邦題。サブタイトルも含めると「マネー・ショート 華麗なる大逆転」

金融とか投資に少しでも関わった人なら誰でも知っていると思うが、原題”Big Short”のShortは、「売り持ち/買い持ち」あるいは「売り越し/買い越し」の「売り」の方を指す。ちなみに「買い」の方はlong。

だからBig Shortっていうタイトルからは、巨額のショートで大きな賭けに出た投資家の話が思い浮かぶわけ。

実際、サブプライムローンを束ねた投資商品であるMBSやCDOが償還不能になると判断した一握りの投資家が、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を通じてこれをショートして、リーマン危機で大もうけした、というのが、この映画のお話。

それが「マネー・ショート」ですと?(この映画が日本で公開されたのは2年位前なので、今更なんだけどね)

money shortという言葉は、そのままだと意味不明な英語ではあるが、short of moneyとかmoney shortageを想起させる。つまりこのタイトルから思い浮かぶのは「資金不足」。資金繰りに困ってすったもんだする中小企業経営者の話かな、なんて思ってしまう。

まあ、想像するに、同じマイケル・ルイス原作の映画「マネー・ボール」から連想してつけたタイトルなんだろうな。映画ファンが同じように連想してくれるのを期待して。タイトルをつけるのは、字幕の翻訳をする人の仕事ではないそうなので、金融にも英語にもあまり詳しくない配給会社のマーケティング担当者あたりがこのタイトルをつけたのかな。

映画はまだ途中までしか見ていないのだけれど、字幕でも気になったところがある。

amazonビデオで21分45秒くらいからのシーンだ。投資ファンドの運用担当者であるバーリ博士がゴールドマンサックスにMBSのCDSを売ってくれないかと相談している。ゴールドマンの担当者2名は、バーリの前で資料を見ながらひそひそ話し合った結果、「この債券のCDSを500万ドルで売ります」と言う(いくらなんでも、いきなりそんな判断を客の目の前で下さないよね?)。それに対してバーリは「1億ドルは?」と応じ、ゴールドマンの担当者たちを喜ばせる。

500万ドルで売ってくれると言ったものを、投資家であるバーリがわざわざ1億ドルで買うなんて言う???利益を上げるのが目的なのに、自分から買値を高くする(それも20倍も!)はずないだろう。

そう思って英語をよく聞いてみると、こう言っていた。

We’re prepared to sell you five million in credit default swaps on these mortgage bonds.

Can you make it a hundred million?

つまり、ゴールドマンの担当者は、500万ドル「で」CDSを売ると言ったのではなく、500万ドル「の」CDSを売ると言ったのだ。それに対してバーリは、もっとたくさん買えるか、と聞いたわけ。

ちなみにCDSというのは、単純に言うと、対象の債権が返済されない事態になったときに、その債権と同額のお金を払ってくれる商品。債権者にとっての保険のようなものだ。

したがって、ここでゴールドマンがバーリに500万のCDSを売ると言ったのは、生命保険のセールスマンが見込み顧客に500万円の保険を売ると言ったようなもの(保険金が500万円の生命保険を買うのに必要なお金は当然、500万円ではない)。バーリが1億ではどう?と聞いたときの1億は、自分が払うお金のことではなくて、この保険契約の金額のこと。500万円の生命保険じゃ全然足りないから1億円の保険を買いたいんだけど、と申し出たようなものだ。保険金が高くなれば当然、掛金(=保険料収入)も高くなるので、ゴールドマンの担当者は喜んだというわけ。

この辺りを見ると、字幕を訳した人もCDSのこととか分かっていたのだろうかと不安になるが、今のところ、その他に気になるシーンはないので、ミスタイプの見落としか何かだったと信じたい。


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