酸素カプセルで料金支払いを拒否-不幸をはじき返す気持ちが大事
僕は自分のことを、割と運が悪い人間だと思いがちなところがある。
マラソンの日に天気が悪かったり、予定を狂わす不測の事態があったりすると、「ああ、やっぱりね。自分はついていないから、またこんな不運な目に遭ってしまった」と心のどこかで思ってしまう。
そして、ちょっと悪いことがあると、自分の運の悪さを証明するかのように、それによる悪影響を進んで受け入れてしまう。つまり、僕は運が悪いように思えるかもしれないが、その運の悪さの少なくとも一部は自分から呼び込んでいる。
最近、自分のそういう問題点に気づいた。これを改善すれば、運も良くなるし、いろんなことのパフォーマンスも上がってくるのではないだろうか。
そう思っていたところ、先日、ちょっとした出来事があった。
3月10日のはなももマラソンに向けて疲労を抜くため、酸素カプセルに行くことにした。以前、マラソン前の酸素カプセルが効いたと知人から聞いたからだ。
幸い、わが家には酸素カプセルの回数券がある。子どもが3年前に中学受験をしたとき、頭が冴えるというふれこみを聞いて酸素カプセルに何度か入らせた。そのときに買った回数券が余っているのだ。
しかし予約してお店に行くと、この回数券は3年の期限が過ぎているので使えませんと言われた!
期限があるとは知らなかった。買ったのは家内なので、僕は直接お店の説明を聞いていないが、回数券の券面にはどこにもそんなことが書かれておらず、期限のことは全く意識していなかった。
1、2回分だったらまだあきらめもつくが、30回分のうち12回分くらいが残っていたのだ。この回数券に家内は8万円以上払っていた。ざっくり計算して3.2万円(8万円x12/30)をドブに捨てたことになる。
しかも今日は3780円の利用料がかかるという。ただし、延長してもその分はサービスすると申し出てくれた。
せっかく時間をとって雨の中、電車に乗ってやって来たのに、このまま帰るのも空しいので、10分延長して利用することにした。
カプセルの中で考えた。今までの自分なら、この不幸を受け入れ、「3万円以上ドブに捨てたうえ(払ったのは自分ではないけれど)、今日の利用料も取られた。ひどくない?」と自分の不幸ぶりを他人にアピールするところだ。
しかし、期限の経過に気づかなかった自分の非を認めるとしても、それに対して3万円超のペナルティは大きくないか。この会社は5万円分のサービスしか提供せずに(しかも酸素カプセルの1回当たりのランニングコストなんていくらでもないはず)8万円を懐に収めることになるが、それは儲けすぎではないのか。
しかも、大損をしたというショックに追い打ちをかけるように、無料だと思っていた今日の支払いが3780円になるとは・・・
これは不当だとアピールしても、いいのではないか。せめて、今日の料金くらい免除してもらうよう交渉してみるか。
規定の時間が過ぎてカプセルから出たあと、担当の人に、回数券に期限の記載がなかったこと、3万円を捨てるうえに今日の料金を払うのは受け入れがたいことなどを説明すると、社長を呼んできてくれた。
同じことを話すと、社長は「では、どうされたいですか」と聞いてきたので、「今日の料金は払いたくないです」と言ったところ、あっさり応諾してくれた。
3.2万円の損が2.8万円になった程度のことだが、今日の支払いがゼロになるというのは心理的に大きい。
そして僕にとってそれ以上に大きかったのが「不幸をそのまま全て受け入れずに、わずかでもはじき返すことができた」ということだ。
普通の人から見れば、全く大したことではないかもしれないが、僕にとっては、「自分の行動で未来を少し変えることができる」という感覚が持てたという意味で、先日の減量目標達成に続く大きな成功体験だった。
こうやって少しでもよい結果を目指して前向きに動いていけば、少しずつ良いことが起こっていくんだな。
ダメっ子脱却に向けて一歩成長できた一日だった。