このところダメっ子は、ランニング障害に伴う体の痛みに悩まされている。走るのを休んで、いろんな医療機関に通ってきたが、なかなか治らない。
この痛みはどうしたら治るんだろう。そもそもどういう仕組みで痛いんだろう。
そう思ったダメっ子は、得意のネット検索であれこれ調べていたら「筋筋膜性疼痛症候群」という症状に行き当たった。さらに、それについて書かれた
「その腰・肩・ひざの痛み治療はまちがっている!」(加茂淳 著)
という本を見つけ、読んでみた。
この本は痛み、特になかなか治らない「慢性痛」が発生する仕組みと、その治療法を説明している。
- 構造異常モデルでは説明できない痛みがある
ヘルニアによる腰痛と医師に診断され、いつまでもその痛みに悩まされる人が多くいるが、実は腰痛を持たない人も、かなりの確率でヘルニアを抱えているという。
ヘルニアがあっても痛みが出る人と、出ない人がいるというわけだ。
また腰が痛いけれども、レントゲンやらMRIなどで検査をしても何も異常が見つからないと言う人も多い。
つまり、世の中には「体(骨や筋肉)の構造に異常が生じているために、痛みが起こっている」という考え方では説明できない痛みがたくさんあるのだという。
- 痛み発生の仕組み
では、痛みはどうして発生するかというと、次のようなサイクルが働くからである。
ケガなどで刺激が生じる→交感神経が働く→血管が収縮→筋肉が酸欠になる→「ブラジキニン」などの発痛物質が分泌する→知覚神経の先端にある「ポリモーダル侵害受容器」という痛みセンサーに発痛物質がぶつかる→脳に痛みの信号が送られる→交感神経が働く…
上の流れのうち、交感神経が働くところから先は、ケガだけでなく怒りや不安といった感情によっても起こる。
- 痛みがなかなか治らないのは脳が過敏になるから
通常は、痛みの元となる刺激がなくなると、痛みもなくなる。
しかし強い痛みが繰り返されると、痛みのメカニズムに歪みが生じる。
例えば、痛みセンサーの感受性が上がって、普段なら痛いと感じないような刺激でも痛みを感じるようになる。また、脳の回路もおかしくなり、一種の記憶として痛み信号が神経回路に残り、痛みの原因がなくなった後も、信号が送られ続けたりする。興奮を静める脳のDLPFCという部位が働かなくなり、痛みが続くという研究結果もある。
- 慢性痛は筋痛症で起こる
慢性的な痛みの発生源となる刺激は筋肉の痛みである「筋痛症」であることがほとんどである。
筋痛症が起こる仕組みは次のとおりだ。
運動等で筋繊維が痛み、それが修復される前に同様の刺激が繰り返されると、筋肉がこわばって柔軟性が戻らなくなる。これを拘縮という。拘縮した筋肉は、ゴムの結び目のような「筋硬結」を形成する。これができると、体のバランスが崩れ、拘縮する筋肉が増え、筋硬結が増える。筋硬結は血行が悪く、上記の仕組みで痛みを発する。
筋硬結には押すと痛いところがある。それを圧痛点という。圧痛点のうち、押すと痛みが他の箇所にも広がるものを「トリガーポイント」という。
このトリガーポイントが発生した状態を「筋筋膜性疼痛症候群」(MPS)と呼ぶ。
これを治すには…
時間切れなのでまた次回!