こんにちは、実務翻訳者のぴぴおです。

お金をかけない翻訳の勉強法
今回は私が行っている翻訳の勉強法の一つを紹介します。
翻訳を勉強する方法はいろいろありますが、効果的だと思われるやり方の一つが、上手な人の訳文を原文と比較することです。
スクールに通ったり、通信教育を受けたりすれば、課題を自分でやって、添削を受けて、模範解答を読んで、解説を聞く(読む)、という流れになるのだと思いますが、以下の方法で勉強すれば、あまり(あるいはまったく)お金をかけずにそれに近い効果が得られます。
用意するものは
- Amazonのアカウント
- 電子書籍を読む端末
- Excelなどの表計算ソフト
です。
やることは、
- 自分がうまいと思う翻訳者の訳書をアマゾンで探す。できれば電子書籍(Kindle版)があるものを見つける。
- 訳書の原書を探す(これもKindle版がお勧め)。
- 原書を読んで、自分でスプレッドシートに訳出してみる。
- 訳書の訳を自分の訳の隣に書き写してみる。
- 原文の解釈や訳文の表現で勉強になった点をコメント欄に書く。
これだけ!
さらに、
- (自分のまたは訳者の)訳文を読んで、それを自分で英訳し、原文と比較する
というプロセスを加えると、英訳の勉強にもなるし、英語を書くときに気を使うべき細かいところ(冠詞、助動詞、時制、前置詞など)に目が向くようになり、和訳の精度がさらに上がる、という効果も期待できます。
実際の表計算の画面は以下のようになります(サンプルです)。

このやり方は、原文と訳文をじっくり比較しながら、訳者のテクニックを学べるので、翻訳の総合的な学習として効果的だと思います。
しかも、一組の訳書と原書を買うお金(合計数千円くらい)で相当な分量のテキストを使って勉強できます。
Kindleの書籍には試し読みの機能があるので、一部分だけなら何と無料で学習することもできます。ただし試し読みでは、テキストにマーカーを付けたりすることができないので、やはりお金を出して買った方が勉強しやすいです。
Kindleに限らず、もちろん楽天Koboでも同じことができます。そもそも電子書籍である必要もありませんが、2冊の紙の本を開いたままパソコンで文章を入力するのは物理的にやりにくいので、電子書籍がお勧めです。電子書籍端末であれば、ページを開いたままにしておくことも、2冊の本を切り替えるのも容易です。
表計算ソフトは、私はGoogleスプレッドシートを使っています。無料だし、ブラウザベースで利用でき、クラウドにデータが保存されるので、場所や端末を変えても勉強ができます。
興味のある方はぜひ試してみてください。